発達障害の歴史日本における発達障害の歴史(2)——大人支援の整備と現在の課題
子どもへの支援体制が整いつつある日本で、大人の発達障害への支援はどこまで来たか。法整備と現在の課題を解説します。
この記事でわかること
- この記事で伝えたいこと:大人の発達障害支援は2010年代にようやく整い始めた——しかし課題は多い
- 2005年法施行後も「大人」は取り残された
- 2010年代:支援の拡充期
- 2016年:障害者差別解消法の施行
- 現在も残る課題
- 今すぐ使える支援窓口
この記事でわかること
- 子ども支援のあと、大人支援がどのように整備されてきたか
- 2016年の障害者差別解消法で「合理的配慮を求める権利」が生まれた意味
- 今も残る診断の壁・地域格差・女性支援の問題
- 支援を求めたいときに使える制度の概要
この記事は、「働きながら発達障害と向き合っている社会人」「支援制度を知りたい大人」に向けて書いています。
この記事で伝えたいこと:大人の発達障害支援は2010年代にようやく整い始めた——しかし課題は多い
子どもへの特別支援教育が2007年から本格スタートした日本ですが、「大人の発達障害」への支援はさらに遅れていました。
「学校を出たら支援が消えた」——そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
成人した当事者が利用できるサービス・制度が整うまでの歴史と、今も残る課題を見ていきます。
2005年法施行後も「大人」は取り残された
発達障害者支援法(2005年)は「学校卒業後の生活や就労支援」についても定めていましたが、実際に機能する支援体制が整うには時間がかかりました。
当時の大人の発達障害者が直面していた問題はこちらです。
- 診断できる専門医(特に成人精神科)が少ない
- 「発達障害専門の相談窓口」がほとんどない
- 障害者手帳の取得が困難(知的障害がないとIQが基準を満たさず、精神障害者手帳は「精神疾患」として申請が必要)
- 職場での「合理的配慮」の概念がない
2010年代:支援の拡充期
2010年代に入り、大人への発達障害支援が少しずつ整い始めます。
発達障害者支援センター(各都道府県)
発達障害者支援法に基づき、都道府県ごとに「発達障害者支援センター」の設置が義務化されました。
相談・就労支援・地域支援の拠点として機能しますが、地域によって質・体制の差が大きいのが現実です。
就労移行支援・就労継続支援
障害者総合支援法のもとで、発達障害者も就労移行支援・就労継続支援を利用できるようになりました。
(費用は収入に応じた自己負担で、多くの場合ほぼ無料)
成人ADHDへの投薬承認(2013年)
2013年にコンサータ(メチルフェニデート)の成人ADHDへの保険適用が承認。
従来は18歳未満のみでしたが、これにより成人も薬物療法を受けられるようになりました。
(ただし処方できる医師の登録制が設けられています)
2016年:障害者差別解消法の施行
2016年に「障害者差別解消法」が施行されました。
これにより——
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| 行政機関 | 発達障害者への差別禁止・合理的配慮の提供が義務 |
| 民間事業者(企業) | 合理的配慮の提供が努力義務(→2024年から義務化) |
「合理的配慮」とは、障害のある人が他の人と同様に社会参加できるよう、過大な負担にならない範囲で提供する配慮のことです。
職場での具体例:
- 業務指示を口頭だけでなく文書でも提供する
- タスクの優先順位を明示する
- 騒がしい環境を避けた座席配置
- 締め切りのリマインダーを設ける
この法律により、発達障害者が職場で「配慮を求める権利」が法的に認められるようになりました。
現在も残る課題
整備が進んできた一方で、多くの課題が残っています。
診断の壁
- 成人発達障害を診断できる医療機関が不足
- 初診まで数ヶ月〜1年以上待つ地域も多い
支援の断絶
- 学校の特別支援から卒業すると、支援が途切れることが多い
- 企業の障害者雇用枠は知的障害・身体障害者に偏り、発達障害者の利用がしにくい面もある
女性・大人女性への支援
- 女性のASD・ADHDへの専門的な評価・支援はまだ発展途上
地域差
- 都市部と地方で、利用できる支援の量・質に大きな差がある
今すぐ使える支援窓口
| 窓口 | 何をしてくれるか |
|---|---|
| 発達障害者支援センター | 相談・情報提供・就労支援。全都道府県に設置 |
| 就労移行支援事業所 | 就職に向けた訓練・支援(費用は基本無料) |
| 障害者就業・生活支援センター | 就職後の職場定着・生活支援 |
| 精神科・心療内科(成人発達障害専門) | 診断・薬物療法・カウンセリング |
「制度はあるのに、どこに相談すればいいかわからない」という方は、まず発達障害者支援センターへの相談から始めてみてください。
まとめ
- 2013年に成人ADHDへの薬物療法が承認され、医療的支援が整い始めた
- 2016年の障害者差別解消法で職場での合理的配慮を求める権利が生まれた
- 「乳幼児から高齢期まで切れ目のない支援」が法に明記されたが、現場では課題が多い
- 診断の待機・地域差・女性支援・学校卒業後の断絶など、今も多くの課題が残る
「支援を求めたいのに、どこに行けばいいかわからない」——
そう感じている方が多いのは、まだ整備途上だからです。あなたのニーズは正当です。
次回はニューロダイバーシティ運動の歴史を取り上げます。
今日から試す3ステップ
- 記事の中で新しく知った点を1つ残す
- 自分の生活や職場に関係する点を1つ選ぶ
- 必要なら公的情報や専門家の情報で確認する
参考情報・注意
この記事は当事者の経験と一般情報をもとにした読みものです。診断、治療、服薬の判断は医師などの専門家に相談してください。
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