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DSMの変遷(1)——発達障害の診断基準はどう変わってきたか(DSM-I〜IV)発達障害の歴史
2026.02.15·約8分ズレハック運営者の著者イメージズッチ

DSMの変遷(1)——発達障害の診断基準はどう変わってきたか(DSM-I〜IV)

発達障害の診断基準はDSMの改訂とともに大きく変わってきました。DSM-IからDSM-IVまで、発達障害に関係する変遷を解説します。

この記事でわかること

  • この記事で伝えたいこと:DSMの改訂のたびに、発達障害の理解は深まってきた
  • DSM-I(1952年):精神分析の時代
  • DSM-II(1968年):「多動な子ども」の初登場
  • DSM-III(1980年):大改革と「ADD」の登場
  • DSM-III-R(1987年):「ADHD」という名称の誕生
  • DSM-IV(1994年):アスペルガーの公式採用と細分化

この記事でわかること

  • DSMとは何か、なぜ重要なのか
  • DSM-I〜IV(1952〜1994年)で発達障害の理解がどう変わったか
  • 「ADD」から「ADHD」へ名称が変わった背景
  • アスペルガー症候群が公式診断となった年

この記事は、「発達障害の診断基準がどう変わってきたのか知りたい」「なぜ昔と今で診断が変わるのか疑問を持っている」社会人に向けて書いています。


この記事で伝えたいこと:DSMの改訂のたびに、発達障害の理解は深まってきた

「DSM-5に基づく診断」「DSM-IVの基準では」——発達障害の文脈でよく出てくる「DSM」とは何でしょうか。

DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は、米国精神医学会(APA)が発行する精神疾患の診断・統計マニュアルです。

改訂のたびに精神医学の最新の知見をもとに診断基準が更新されます。
世界的な標準として広く使用され、日本でも多くの医療機関がDSMを基準に診断しています。

「診断基準が変わる」ということは、「その人への理解が変わる」ということ。
社会が発達障害をどう認識してきたかが、DSMの変遷から見えます。


DSM-I(1952年):精神分析の時代

最初のDSM-Iでは、現在の発達障害に相当する概念はほぼ存在しませんでした。

精神分析の影響が強く、多くの問題が「心理的葛藤」や「環境的要因」として説明されていました。
子どもの行動問題は「調整反応」などにまとめられていましたが、神経学的な背景を考慮した分類はほぼなかったのです。


DSM-II(1968年):「多動な子ども」の初登場

DSM-IIで初めて、現在のADHDに相当する「児童期の過剰運動反応(Hyperkinetic Reaction of Childhood)」が登場します。

このころは行動問題の原因を親子関係・環境に求める傾向がまだ強く、神経発達障害という概念は確立していませんでした。


DSM-III(1980年):大改革と「ADD」の登場

1980年のDSM-IIIは、精神医学の診断体系を根本から変えた「革命的な改訂」と言われます。

主な変化はこちらです。

  • 精神分析的な説明を排除し、観察可能な症状・行動の基準による診断体系へ
  • 「注意欠如障害(ADD)」の登場(多動の有無によるサブタイプ分類も)
  • 「広汎性発達障害(PDD)」カテゴリーが新設され、自閉症が含まれる

DSM-IIIは「証拠に基づく精神医学」への転換点であり、研究と臨床の標準化に大きく貢献しました。


DSM-III-R(1987年):「ADHD」という名称の誕生

1987年の改訂版(DSM-III-R)で、「ADD」から「ADHD(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠如・多動性障害)」という名称に変更されます。

また広汎性発達障害(PDD)の下に「自閉性障害(Autistic Disorder)」が含まれ、診断基準が明確化されました。


DSM-IV(1994年):アスペルガーの公式採用と細分化

1994年のDSM-IVは、発達障害の診断において特に重要な変化をもたらしました。

ADHDの精緻化

サブタイプ 特徴
混合型 不注意と多動衝動性の両方が基準を満たす
不注意優勢型 不注意が主、多動は目立たない
多動・衝動性優勢型 多動衝動性が主

不注意症状・多動衝動症状それぞれ9項目のリストが設定され、診断の客観性が高まりました。

アスペルガー障害の公式採用

アスペルガー障害(Asperger's Disorder)」が初めて正式な診断として登場。
「自閉性障害(Autistic Disorder)」と並ぶ「広汎性発達障害」の下位分類に位置づけられました。

学習障害の整備

「学習障害(Learning Disorders)」として読字障害・算術障害・書字表出障害が記載されました。

DSM-IVによって、多くの人——特に大人、高知能の方、女性——が診断を受けやすくなりました。
「アスペルガー症候群」という言葉が広まるのもこの頃からです。


この歴史から学べること

「昔は発達障害なんて言葉がなかった」——それは事実です。
でも「なかった」のは言葉と診断基準であり、特性を持つ人は昔からいました。

主な変化
1952年 発達障害の概念なし(精神分析が主流)
1968年 多動な子どもが初登場
1980年 証拠に基づく診断体系へ。ADDが登場
1987年 ADHDという名称が誕生
1994年 アスペルガー正式採用。大人・女性が診断されやすくなる

まとめ

  • DSMは米国精神医学会が発行する診断基準で、改訂のたびに発達障害の認識が進んだ
  • DSM-III(1980年)が現代の診断体系の基礎を作った
  • ADHDは1980年「ADD」→1987年「ADHD」と名称が変化
  • DSM-IV(1994年)でアスペルガー障害が正式採用され、大人・高知能への診断が広まった

次回は2013年のDSM-5改訂が「大人の発達障害」にもたらした変化を解説します。

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参考情報・注意

この記事は当事者の経験と一般情報をもとにした読みものです。診断、治療、服薬の判断は医師などの専門家に相談してください。

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PRACTICAL TIPS

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ADHDの仕組みがわかったら、次は実際に使えるハックを試してみましょう。

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